腎臓病についておはなしします
2023/06/23
こんにちは。院長の白です。
健康診断で腎機能低下や尿所見異常を指摘されことはありますか?
現在日本の成人のうち、8人に1人が慢性腎臓病に罹患しているといわれています。腎臓病と聞くと心配になってしまいますよね。
今回は腎臓の働きや腎臓病について、お話したいとおもいます。
腎臓は老廃物の排出や水分・電解質のバランス維持、血圧の調整などとても重要な役割を果たしています。腎臓の機能が低下すると、生命活動や健康維持ができなくなり、さまざまな不調を引き起こしてしまいます。腎臓病は急性と慢性に分けられますが、今回は慢性腎臓病についてお話しします。
<慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease:CKD)とは?>
さまざまな原因によって腎臓の働きが低下していく状態のことをいいます。下に示す状態が3ヶ月持続している場合、CKDと診断されます。
<慢性腎臓病(CKD)の定義>
- 尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らかな状態(特にたんぱく尿の存在が重要)
- 腎臓のはたらきの指標となるGFR(糸球体ろ過量)が『60ml/min/1.73m2』未満①,②のいずれか、または両方が3ヶ月以上持続する状態
<慢性腎臓病(CKD)の原因>
糖尿病、高血圧、肥満、免疫や遺伝によるもの、腎臓の形の異常によるものなどがあります。
<慢性腎臓病(CKD)のステージ分類> (CKD診療ガイド2012より引用)
CKDのステージ分類は、蛋白尿の度合い(横軸)と、腎機能低下の度合い(縦軸)によって決まります。G3期までは自覚症状が出ない方がほとんどです。
<腎機能障害や尿所見異常を指摘されたら?>
CKDは原因やステージによって行うべき治療や予後が異なります。
末期腎不全になると透析導入が必要となります。日本は透析医療の技術がとても高く大きな心配はありませんが、血液透析の場合は週3回治療に通う時間が必要になります(それ以外に腹膜透析という方法もあります)。
腎臓病は早期に介入することがとても重要ですが、ある程度進行するまで自覚症状は出ません。健康診断で腎機能低下や尿所見異常を指摘された際には、早めの受診をお勧めします。さまざまな薬も出てきており、早期に治療を開始することでその後の予後が大きく変わります。
当院では腎臓の形を調べるエコー検査や詳しい尿所見検査、腎機能の迅速検査を取り入れ、管理栄養士も常駐し栄養指導を行うなど、腎臓病の診療に力を入れています。どうぞお気軽にご相談ください。